知らないと損する!?夫婦別姓のメリット・デメリットとは

知らないと損する!?夫婦別姓のメリット・デメリットとは

日本では大半の女性が、結婚と同時に夫と同じ姓を名乗るようになります。しかし近年、結婚したあとも「夫婦別姓」の形式をとり、自分の姓を使い続けていきたいと考える女性も増えているようです。
イギリスやフランスなど、海外では珍しくない夫婦別姓について、どのようなメリット・デメリットがあるかをお伝えしていきます。

日本における夫婦別姓の実情は?

日本では結婚後、夫婦はどちらかの姓を名乗ることになりますが、多くの夫婦は夫の姓を名乗ることを選択しています。しかし現在では、「結婚した後も自分の姓のままで暮らしていきたい」という考えの方も増えてきているようです。法務省が2012年に行った『選択的夫婦別氏制度に関する世論調査結果』によれば、選択的夫婦別氏制度の導入に賛成と答えた割合が、1976年には20.5%だったのに対して、2012年には35.5%に増加しています。この傾向に関して、法務省は、「女性の社会進出等に伴い,改氏による社会的な不便・不利益を指摘されてきたこと」が背景にあると説明しています。
現状、法務省は夫婦別姓を認める「選択的夫婦別氏制度」の導入を検討しているものの、未だ制度化には至っていません。そのため、夫婦別姓を希望する方は、入籍せずにパートナーと共同生活を営む「事実婚」という形式をとることになります。

夫婦別姓のメリットって?

・手続きが楽!婚姻による変更手続きが不要

役所に婚姻届を提出して夫婦となることを「法律婚」と呼ぶのに対し、婚姻の意思を持ちながら、婚姻届を提出せずに、「事実上婚姻した夫婦として」パートナーと共同生活を営んでいる状態を「事実婚」と呼びます。事実婚は、パートナーと生計を共にしているなど、社会的に見て婚姻状態にあるという点で「同棲」とは異なります。また、仕事のある日は別居し、休日は夫婦一緒に過ごす「週末婚」とも、婚姻届を出していないという点で異なります。
事実婚の形式をとって夫婦別姓を選択するメリットの一つとして、姓を変更した場合に必要になる手続きを省けることが挙げられます。法律婚の手続きを踏んで姓が変わるときには、住民票や戸籍における氏名、銀行口座などの名義を変更する必要があります。しかし、事実婚の形式をとって夫婦別姓を選択した場合には、姓が変わらないため、このような手続きの必要はありません。

・女性も自分の名前が一生変わらない

たいていの場合、男性は結婚後も生まれ持った姓を名乗り続けますが、夫婦別姓を選択することで、女性であっても一生同じ姓を名乗り続けられるというメリットもあります。女性の中には、できれば自分のルーツである名前を守っていきたいと考える人もいるでしょう。一人っ子であったり、両親に兄弟がいなかったりするなどの理由で、結婚とともに姓を変更すると、先祖代々続いてきた姓が途絶えてしまうようなケースもあります。しかし、夫婦別姓を選択することで、結婚しても自分の姓を名乗ることができるため、代々続いてきた姓を絶やさないことにも繋がります。

夫婦別姓のデメリットにはどんなことが?

・納める税金の額に影響?

夫婦別姓のデメリットの一つに、婚姻による税金の優遇措置を受けられないことが挙げられます。一般的な結婚の場合、婚姻届を提出し夫婦となる(「法律婚」の形式をとる)ことで、「配偶者控除」を受けることができます。配偶者控除とは、配偶者の収入が一定以下の場合に、住民税や所得税などの負担が軽くなる制度のことです。
一方、事実婚の場合は配偶者控除の対象にはならないため、法律婚の夫婦に比べると税金の負担が重くなります。

・子供に影響?相続が受けられなくなる...

法律婚の夫婦の場合は、パートナーが亡くなったときに財産を相続できますが、事実婚の場合は、配偶者は相続を受ける対象とはならず、パートナーの遺した財産を受け取れないというデメリットがあります。このような状況を防ぐ方法として、生前に「遺言書」を作成し、相続の内容を決めておく「遺言」があります。「配偶者を相続の対象にする」旨の遺言をパートナーがしていた場合であれば、事実婚の配偶者でも、パートナーの財産を受け取ることができます。 また、事実婚の夫婦の間に生まれた子供は、法律上は未婚の女性が産んだ子供として扱われるため、父親が亡くなった場合には相続を受けられません。事実婚の夫婦の子供が、父親からの相続を受けるためには、子供が生まれたあと、父親が「認知届」を役所に提出し、父親が子供を「認知」するという方法があります。父親による認知があれば、事実婚の夫婦の間に生まれた子供でも、法律婚の夫婦の間に生まれた子供と同様に、父親から相続を受けることができます。

大切な名前だからこそ、自分たちにあった選択をしよう

事実婚の形式により夫婦別姓を選択することは、名義変更の手間が省けるなどのメリットがある一方で、法律婚の夫婦に比べると、国からの優遇措置が受けられないなどのデメリットもあります。 名前は自分を表す大切なもの。だからこそ、パートナーと話し合い、自分たちに合った選択をしましょう。お互いの考えを理解し合った上での選択ができれば、夫婦別姓でも夫婦同姓でも、円満な夫婦関係を築くことができるでしょう。

※本記事の内容は、2017年6月26日時点のものです。
※参考元:
 法務省「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について」
 法務省「平成24年の世論調査の結果」

行政書士。学習塾や大手メーカーで10年以上経理や総務を担当。そのほかにもいろいろな職業を経て、フリーライターとして独立。 「難しい制度や知識を誰でも簡単に身につけられる知識に変える」をモットーに、日々パソコンに向かっている。

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