おかずは妻からのダジャレ?夫婦の距離をもう一度近づけた「涌井家のお弁当」

おかずは妻からのダジャレ?夫婦の距離をもう一度近づけた「涌井家のお弁当」

皆さんは日頃、ご夫婦でどのようにコミュニケーションをとられていますか? 忙しい毎日の中で、コンスタントに夫婦の時間を作ることはなかなか難しいかもしれません。
今回は、自分たちに合ったコミュニケーションのカタチを見つけたお話を伺うべく、この方に取材をいたしました。

今回お話をうかがったのは「ダジャレ弁当」でお馴染みの涌井さん

涌井 慎さん

涌井 慎さん
エフエム京都(α-STATION)で番組制作を担当。
自身のブログ『涌井家のお弁当』(http://bento-of-wakui.seesaa.net/)にて妻の作った「ダジャレ弁当」を公開したところ、一躍話題に。

そんな涌井さんに、ダジャレ弁当が生まれたきっかけや、ブログがこれまで続いてきた理由などを伺う中で、さまざまなものが見えてきました。

Facebookへの投稿が呼んだダジャレ弁当への反響の嵐

――『ダジャレ弁当』という発想がとても斬新だと思うのですが、奥さまが作るようになったきっかけは何だったんでしょうか?

滋賀県の湖北の実家から、子鮎の佃煮が送られてきたことがあったんです。それを妻がお弁当に入れる際、ご飯の上に鮎で『アユ』という書いて並べたのがきっかけですね。
その写真をFacebookにあげたところ、周りからの反応がかなりありまして。そこから毎日、お弁当にネタが仕込まれるようになっていきました。

――味をしめたんですね(笑)。

そうですね。最初は、特にダジャレという訳ではなくて、「何となく盛り付けが面白いキャラ弁」という感じだったんです。中国にいた偽物のアニメキャラクターだったり、たらこでたらこ唇を作ったりですとか(笑)。

――次から次へと思いつく、その発想力がすごいですね。

私も、「いつか飽きるだろうな」「ネタがなくなって辞めるだろうな」と思っていたんです。SNSで反響はあったものの、妻には育児も仕事もあって、毎日作るのが大変だと思いますからね。
しかし、10日目のお弁当がこれでした。

海苔でひとこと『ネタギレ』

『ネタギレ』ということ自体をネタにしてきたので、さすがだなと(笑)。

でもこのネタは1度きりしか使えないじゃないですか。だからさすがにもうそろそろ終わりかな?と思っていたんですが、ここからもダジャレ弁当は続きまして、もう2年になりますね。

育児と家事の合間に見つけた"お弁当+ダジャレ"という表現の場

『おにぎりモエ』

――2年が経つ今も続いているとのことですが、そんなに長く『ダジャレ弁当づくり』を作り続けられる奥様のバイタリティーは、どこからくるのだと 思われますか?

今、妻は育児と仕事に追われていますが、結婚する前は演劇をやっていたこともあって、表現することが好きなんです。正直普通のお弁当だったら、間違いなくここまで続いていないと思います。ダジャレ弁当を作ることが、きっと彼女の表現したいという思いを満たしているのかもしれませんね。

ダジャレ弁当を介して改めて感じたのは"夫婦の絆"

『手羽先コウ』

――ダジャレ弁当を食べ始めてお二人の中で変わったことはありますか?

それまではお互いの仕事も忙しい上に子供も小さくて、なかなか2人でコミュニケーションをとる機会がありませんでした。 でも、ダジャレ弁当を妻がつくってくれるようになってから、ダジャレの答え合わせをするために、ラインや電話でコミュニケーションをよくとるようになりましたね。

「明日何時起き?」「何時に帰る?」などの事務的な話から一転して、「今日のダジャレは意味が分からへんで」「今日のは良かったんちゃう」とか、ムダ話が増えましたね。

感覚としては"一緒に楽しめるものを見つけた"という感じです。それが映画であったり、読書や音楽であったりすると思うんですが、うちではたまたまそれが『ダジャレ弁当』だったんです。

ダジャレ弁当に一味違うスパイスを加えたのは"二人の喧嘩"

『ステーキなことね』

――とても仲良さそうに見えますが......お二人の間で喧嘩とかってあるんですか?

そりゃ夫婦ですから! もちろんたまにありますよ。

――そういう時って、翌日のお弁当に怒りが反映されることもあるのでしょうか?

幸いそういう事態になったことはまだないですね(笑)。喧嘩した後、妻は「もうダジャレ弁当なんて作ったらへん!」と思うらしいのですが、そういう時に限ってネタが浮かぶらしくて。そんなときに出来たのがこのお弁当ですね。

題して『何座?ギョウザ』

お星様のマークが置いてあって、餃子があって......星座と餃子をかける、みたいなお弁当で。......まぁ、くだらないんですけど(笑)。
翌朝には新しいダジャレ弁当が完成していて、結局そのダジャレについて妻にコメントしたくなって、結局いつの間にか仲直りしている。
ダジャレ弁当が、もしかすると仲直りに一役買っているのかもしれませんね。

ダジャレ弁当が教えてくれた夫婦円満の秘訣は"ユーモア"

題して『赤ズッキーニちゃん』

――では、お弁当が2人の間を繋いでいるという感じでしょうか。

そうですね。実際、私が仕事で家にほとんどおらず、妻が保育園に送り迎えをして、夜は子どもの面倒をみながらご飯を作ってくれています。
そのサイクルの中で、本当はそんなに手の込んだお弁当を作る暇はないと思うんです。それでも合間を縫って作ってくれるので、ありがたいですね。

――最後に......夫婦が末永く円満に過ごすための秘訣があれば教えて下さい。

そうですね......どんな時もユーモアを大事にする、とかでしょうか。
ダジャレ弁当を介して、話すことが増えました。毎日仕事に追われていると、よく知っている仲だからといってお互いのことをあまり考えなくなるかもしれません。

私たちの家庭では"ダジャレ弁当"という形をとりましたが、忙しい毎日にユーモアを忍び込ませて笑わせることで、少し相手のことを考えられるようになれるのではないしょうか。

涌井さんのお話を聞いて

夫婦が一緒に住んでいたのとしても、仕事に家事に育児と忙しくなれば、話をすることも少なくなってくるものですよね。
小さなすれ違いが、大きな誤解を生んでしまう......なんてこともあるでしょう。
そんな中で、"ダジャレ弁当"を通じて、コミュニケーションを取っている湧井さんの話を聞いて、お互いに共通の"面白いもの"さえあれば夫婦円満に過ごせるんじゃないかな、と思いました。
なかなかお互いに時間が取れない方は、湧井さんのダジャレ弁当のようにお互いに共通する"面白いもの"を探して、コミュニケーションを取ってみてはいかがでしょうか。

ちなみに一枚目の海苔で「春は」と書かれたお弁当のダジャレ、意味はわかりましたか?

『春は揚げ物』......美味しそうな枕草子ですね。

エコロジーがだいすき。 動物愛護とかも、大事にしてる。日本酒をこよなく愛する。土日はだいたいはしご酒。 多感なお年頃のもうすぐ25歳。
Twitter:@dishdishdishes

夫婦のヒトコマ劇場夫婦のヒトコマ劇場