転勤族の妻に学ぶツレソウ秘訣「いつもお互いにありがとうを...」

転勤族の妻に学ぶツレソウ秘訣「いつもお互いにありがとうを...」

夫婦円満を持続させるのは意外と大変なこと。結婚して時間が経ったり、日々の忙しさに紛れて思いやりを忘れてしまったり......。でも、愛し合って結ばれた二人、いつまでも仲良くいたいですよね。
そこで今回は、転勤族の夫を持つ妻たちの団体『TKT48』の代表である、奥田美和さんにお話を聞いてきました。結婚と同時に転勤を繰り返しながら、これまで連れ添って来られたお二人には、どんな秘訣が隠されているのでしょうか。

「毎日が旅行みたいで楽しそう」それが転勤族へのイメージでした

――転勤族であるご主人と結婚をするにあたって、不安や迷いはありませんでしたか?

それをよく聞かれますが、私は全く不安はありませんでした。私の父も転勤が多く、幼い頃は海外に何年か住んでいたりして、そんな生活がとっても楽しかったんです。だから、「転勤族っていつも旅行してるみたいで楽しそうだな?」そんな気持ちでしたね。
それに好きな人からプロポーズされてすっごく浮かれてる時期ですよね(笑)。だから不安に思うどころか毎日楽しくて仕方なかった記憶があります。新しい家に引っ越して、インテリア選びに凝ってみたりお料理を練習したり......エプロンをして夫の帰りを待つことだけでも、新婚だと毎日ウキウキして。

その生活に慣れて来た頃に、ふと気づくんです。「あれ? 最近夫以外の人と喋ったのはいつだろう...」と。そこで初めて不安を感じたというか、これからどうやって友だちを作ろう、と考え始めました。

SNSもない時代に知らない土地で友だちを作った苦労

奥田美和さん横顔

――そこから、どのようにして友だちを作っていったんでしょうか?

当時はSNSはもちろん、mixiすらありませんでしたから、知らない土地での友だちづくりはとっても大変でした。
ひとりで必死にネットを探って探って、ようやく転勤族の妻が集まる掲示板を見つけ、そこでできた友だちとお茶をするようになりました。

そんな経験から「私のような思いをしている転勤族の妻がきっと全国にいるはず」と思い、「転勤族協会~TKT48~」を発足しました。
今では全国に16箇所というとても大きなネットワークになりました。どんなところに転勤しても、悩みを相談できる仲間がいて、仕事のお世話をしてくれる先輩もいる......これは私のような転勤族の妻にとって、必ず大きな支えになると思うんです。

「ごめんね」と言ってくれる夫に「ありがとう」と返す

――転勤生活について、ご主人と何か話したりされますか?

主人は「いつも色々な場所に連れ回してごめんね」と謝るんです。それは結婚当初から変わらず、17年経った今でもふとしたときに言ってくれるんです。だから私は「そんな風に気遣ってくれてありがとう」と返してます。

――結婚生活が長くてもそうやって素直に「ありがとう」「ごめんなさい」を言い合える関係は素敵ですね。

そうなんですかね? 当たり前だと思っていましたけれど、言われてみれば褒め言葉やねぎらいの言葉は伝え合うほうかもしれません。

私は昔から、褒め言葉を口にすることに照れくさいとか、躊躇が全くない性格なんです。それは主人に対しても同じで、少しでも家事を手伝ってくれたら「ありがとう!いつも助かる」、料理を作ってくれたら「美味しい!こんな料理が作れるようになったなんて凄いね」とわざわざ言葉にして伝えるんです。そうすることで彼も気持ちがいいだろうし、次からもっと頑張ってくれるようになるので私のためでもあります(笑)。

「得意なほうがやる」それが"我が家"のルール

――ご主人も家事に協力してくれるんですね?

そうですね。料理全般は私がやるんですが、どうしても揚げ物が苦手で......結婚当初のある日、危なっかしい手つきで油と格闘している私を見かねた主人が「俺がやるよ」と言ってくれたんです。
それがとっても上手で、そのときも「すごい! 私が揚げるより美味しい!」って褒めたんです。するとその日から揚げ物は主人が担当になりました(笑)。

――そこでも褒め言葉がいい方向にはたらいているんですね。

私、心理学を学んでいたこともあって、その知識を無意識に実行しちゃってるのかもしれないですね(笑)。でも逆に、彼が苦手なことは私がやるし、彼が苦手なことを無理やりやらせようとはしません。
共同生活をしていると、役割が曖昧で「どうしていつも自分ばっかり」というようなケンカが起こることがありますが、苦手な人が無理にその作業を担う必要ってないと思うんです。

日々の生活の中でそういったストレスが家庭にあることはよくないですし、何より効率が悪いですよね。そのため我が家では何事も「得意なほうがやる」「相手が苦手なことは強制しない」というルールを決めてます

結婚した日=私が転勤族になった日

奥田美和さん手元

――転勤生活について、ご主人と何か話したりされますか?

「今日までお疲れ様。明日からまた宜しくね」という気持ちで結婚記念日を迎えています。転勤族の妻にとって、結婚した日=転勤族生活が始まった日でもあるんです。
楽しいこともたくさんありますが、大変な面ももちろんあります。いつ辞令が出るかわからないし、引っ越しはやっぱり毎回大変ですし......。「そんな転勤族生活を共に戦ってきた」という気持ちでお互いを労う日が、結婚記念日ですね。

――夫婦であり、仲間なんですね。

そうですね。夫婦であり、仲間であり、「戦友」です。なので、結婚記念日には「こんなことがあったね」とこれまでのことを二人で振り返ったり、「来年はこんな年にしようね」「もし休みがとれたら夏は◯◯に行こうね」などこれからの計画を二人で立てたりします。

言葉にしないと伝わらない。だって旦那さんはエスパーじゃないから

――毎年結婚記念日はどのように過ごされているんですか?

夫が花束をくれますね。いつからだろう? 何がきっかけだったかもはっきりとは覚えていませんが、毎年欠かさず花束を準備してくれています。

結婚記念日の花束

――素敵ですね~。結婚記念日をお祝いしてもらえない、と悩んでる奥様もいらっしゃるそうなんですが、何かアドバイスはありますか?

まずは自分が旦那さんにプレゼントを用意してみてはいかがですか? 祝われたいならまず祝う! 心理学で「返報性の原理」というのがあるのですが、人は嬉しいことをしてもらったら自分も返したいと思うものなんですよ。

あとは、単純に忘れてるだけなら教えてあげればいいんじゃないでしょうか。朝、旦那さんに「今日は結婚記念日だね。何か美味しいもの食べたいな?」と素直に言ってみたらいいと思いますよ。

――なかなか自分から言うのは勇気がいるというか、言わなくても分かって欲しい、と思ってしまいがちですが......。

夫婦間では、特に女性側が「言わなくてもわかってよ!」という思いを怒りとしてぶつけてしまうことがありますよね。またそれを「愛情の欠如」や「無関心」と結びつけがちですが、それは間違いだと思います。
どんなに一緒にいても彼はエスパーではないのだから、言葉にしないとわからない。結婚記念日をお祝いしてほしいならそれを伝える、お祝いしてくれたら素直に大喜びする。その積み重ねで「きっとお互いが幸せになるんじゃないかな」と思います。

恥ずかしがらず気持ちを伝えることが大切

転勤を繰り返す日々、我々の想像を越えるほどの苦労があったはず。「結婚記念日=私が転勤族になった日」という言葉から、転勤が夫婦にとってどれだけ大きなことなのかをうかがい知ることができました。
そんな苦労を重ねたはずのお二人ですが、結婚して3回しかケンカをしたことがないのだそう。それはきっと、お互いへの感謝やちょっとした褒め言葉を、恥ずかしがらずに、躊躇わずに日頃から言葉しているからこそ
みなさんは最近いつ、身近な人に褒め言葉をかけましたか?

<今回の取材先>

奥田美和
転勤&ITコンサルタント、産業カウンセラー。海外駐在員の娘(帰国子女)から全国転勤族/タイ駐在員の妻へ。夫の転勤等で6回引越し&9回転職し、大企業から零細企業まで9業界13社、正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイト・個人事業主を経験。2014年から「ワークスタイル・クリエイション」として起業し「女性の新しい働き方」を創出している。 また、1999年から続けている転勤族の妻の支援活動を元に、2014年から【地方創生×女性活躍推進】企画グループ「転勤族協会~TKT48~」(さいたま市市民活動サポートセンター登録団体)主宰。

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