夫がうつになったら...妻がしてあげられる7つのこと

夫がうつになったら...妻がしてあげられる7つのこと

近年、働く世代のうつ病が増えており、中には休職が必要になるほど重くなることもあります。うつ病とはどんな病気なのでしょう。もし、夫がうつ病になったら妻はどのようにかかわるとよいのでしょうか。ここでは、うつ病のタイプ別に症状を説明し、うつになった夫に妻がしてあげられることを7つご紹介します。

これも症状?うつ病にはさまざまな症状があることを理解する

うつ病と一口にいってもいくつかのタイプがあり、典型的といわれるうつ病のほかに、躁うつ病や非定型うつ病といったうつ病もあります。

【サポート1】異なるうつ病のタイプを知る

<典型的なうつ病> 意欲や関心がなくなり、何をするのも楽しくない、集中力や判断力も低下し、仕事ではミスが増え、遅刻などが目立つようになります。眠れない、食べられないといった生活習慣にも影響が及び、また、頭痛などの身体の不調が現れることも多く、否定的な考えとなって自殺を考えてしまうこともあります。

<躁うつ病> うつ状態だけでなく、気分が明るくなり、行動が著しく活発になる躁状態も現れる精神障害で、双極性障害ともいわれています。一人で話し続けたり、ちょっとしたことで怒ったり、周囲に過干渉になることがあるのでトラブルに発展することも多いです。

<非定型うつ病> 非定型うつ病は、典型的なうつ病や躁うつ病のいわゆる「定型」のタイプとは異なるうつ病という意味で「非定型」と呼ばれています。非定型うつ病もうつ状態は現れますが、周囲からみると「本当に具合が悪いのか」と戸惑うような症状も少なくありません。

たとえば、定型で現れるうつ状態は好きなことも含め生活全般に意欲が低下するのに対し、非定型では仕事はヤル気が起きないのに趣味など好きなことはやれるといった違いがあります。また、他者への批判的な態度が目立ち、「相手が悪い」など他罰的になる点も自責感が強くなる典型的なうつ病と異なる点です。

【サポート2】夫の通院に付き添う

うつ病はタイプによって症状も治療法も異なるので、どのようなタイプかを理解することが夫を支える上で重要です。ご主人が通院する際にはできるだけ付き添うとよいでしょう。医師から病状を聞くことができるだけでなく、医師の方も患者さんの家での様子を家族から聞くことができるので診断や治療に役立ちます。

たとえば、躁うつ病の躁状態の把握には、周囲の人からの情報は重要です。なぜかというと、躁状態は患者さんにとっては自信満々で気分がよく、たとえ高額な浪費などの問題があっても自分では問題と思っていないので医師に伝えることはありません。そのため、躁状態が見逃されて、うつ病と診断されてしまうことも少なくないのです。しかし、うつ病と躁うつ病は治療薬が違うので、適切な診断を受けることが極めて重要になります。

焦らずゆっくり!頑張り過ぎている夫には無理をさせない

うつ病の人には「励ましてはいけない」というのを聞いたことがありますか。「励まさない」という働きかけは、実はうつ病のタイプによって効果に違いがあるのです。

【サポート3】真面目な人には励まさず休養を促す

几帳面で頑張ってしまう典型的なうつ病の場合は、励まさずに休養を取れるようにする、無理をさせないことが適切とされています。励ましがよくないのは、もともと真面目な人は励まされると「もっと頑張らないとダメだ」と考え、すでに頑張り過ぎてエネルギーが枯渇しているのに無理してしまうからです。 一方、非定型うつ病の人に長い休養を勧めてしまうと回避的な面が強くなることもあります。そのため、状況をみながら励まして行動を促すのも必要なことです。

【サポート4】特別扱いをせずにさりげない配慮を

また、女性に比べ、男性は支援を受けることに慣れておらず、中には「苦手です」という人も多いでしょう。うつ病になった男性からは「休職中も、普通にしてくれたのが有り難かった」「妻のさりげない心遣いがうれしかった」などの声も聞かれます。受け止め方はさまざまですが、腫れ物に触れるかのような態度や何か特別な印象があると本人にとってはむしろ負担になることもあるようです。

うつ病になると会話をするのも面倒になり、周囲のにぎやかな声やテレビの音がうるさく感じて疲れることもあります。普段通りがいいという面もありますが、さりげなく静かな環境をつくることも大切な配慮です。

【サポート5】回復には時間が必要!妻も焦らない

うつ病の回復をどのようにイメージしていますか?うつ病は、直線的によくなっていくものではなく、調子のよい日もあればよくない日もあり、一日の中でも調子の波が生じるのがうつ病の特徴です。また、回復には時間がかかることを理解し、本人の焦りを受け止めつつ「ゆっくり治そう」という態度で接しましょう。それには、妻であるあなた自身も焦らないことが重要です。

一人で背負っていない?あなたもサポートを受けながら夫を支える

最後に、そばにいる妻だからできること、心がけてほしいことをお話しします。

【サポート6】症状を見逃さず治療につなげる

「夫がうつ病になってしまった」、「なかなかよくならない」、「休職してしまった」という場合、妻にも強い不安が生じることでしょう。また、うつ病で自殺が起こりやすいのは回復期、あるいは再発の初期といわれています。よくなってくると家族も少しホッとしてしまいますが、回復期の様子にも注意が必要で、再発も多いため妻も疲れ果ててしまうことが少なくありません。

躁うつ病の人は、躁状態になると怒りっぽくなって些細なことで苛立ち、中には暴力などの問題が起こることもあります。ネットショッピングで大量に買い物をしてしまったり、安易な気持ちで車などの高額な物を買ってしまったりというのも躁状態の症状です。会社の社長や上司と争ってしまい失職するといった事態となり、妻を困らせることもあります。

生活の中で気になる症状があったときには受診につなげること、薬を正しく飲んでいるかについても気をつけてくださいね。

【サポート7】妻も支援を受けて夫をサポートする

病気が長引いたり、問題が大きくなったり、また、夫の様子を注意深くみていくことも妻が一人でやっていくのは大変なことです。家庭や職場で問題が起きているときは医師に相談するだけでなく、妻も自分の気持ちを誰かに話して受け止めてもらう、家事や育児を手伝ってもらうことが必要でしょう。妻もときにはゆっくり休み、心身の疲れが少し軽くなると、それが夫へのより適切なかかわりにつながっていきます。 あなたも休んでいいのですよ。

うつ病といってもさまざまなタイプがあり、症状や治療、また、かかわり方も異なります。夫へのかかわり方に迷いがあるときには主治医に相談するなど、あなた自身もサポートを受けながら回復を焦らずに夫を支えていきましょう。

普段の仕事は心理士として、助産師として女性のこころとからだの健康を支援しています。ライターとしては個人的な経験も含めて、日常生活のちょっとした疑問やふと気になる心配事の解消に役立ちたいと思っています。

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