妻が産後うつになったら・・・夫がしてあげられる3つのこと

妻が産後うつになったら・・・夫がしてあげられる3つのこと

赤ちゃんが生まれて数カ月たった頃に、産後うつを発症することがあります。産後うつは一過性に起こるマタニティーブルーとは違い、重症になる人もいるので注意が必要です。産後うつになった妻に対し、夫が行ってほしい「病気を知り、妻の辛さを理解する」、「妻の話を受け入れる」、「育児や家事を手伝う」の3つについてご紹介します

<その1>病気をきちんと理解する!産後うつによる不調は辛い

マタニティーブルーは不安や憂うつな気分、また、涙もろさなどが出産後のまもない時期に現れて10日~2週間程度で治まる一過性の生理的なものです。一方、産後うつの発症時期はマタニティーブルーよりも遅く、産後2~3週間ほど経った頃から数カ月の間に症状が現れるといわれています。また、産後うつは適切な治療を受けずにいると回復までに一年以上かかることもあり、長期間にわたり育児ができない、最悪の場合には自ら命を落とすこともある病気です。

●重症になると泣くこともできない

産後うつを発症すると抑うつや不安だけでなく、意欲の低下や自分を責めるような考え、さらに、睡眠パターンや食欲などにも変化が現れます。うつ状態では口数も少なく、何をするにもやっと動く状態で、周囲のことに過敏になることもありますが重症になると「どうでもいい」という気持ちになり、涙も出なくなります。
周囲は単なる疲れと思いがちですが、本人は意欲が低下して、やらなければならないとわかっているのに「できない」のです。中には、食事も身の回りのことも一切できなくなり、寝込んでしまうこともあります。

産後うつは結果として短期間でよくなったとしても、夫としては産後うつを軽く見ずに病気として理解することを心がけてください。動きがないときも「しない」のではなく、「できない」という違いに気づくことは、妻の状態をより理解することにつながります。

<その2>正論をいっていない?話を聞くことは妻を受け入れることにつながる

日頃、妻の話をどのように聞いているか、少し振り返ってみましょう。

●正しいかどうかのジャッジより大切なことがある

妻の口からよく聞かれるのは「主人は、すぐに正論をいうので話したくない」ということ。話したいこと、聴いてもらいたいことはたくさんあるのに、夫に話すと正論をいわれて結果として「自分(妻)の方が悪い」ということになってしまうといいます。そのため、「傷つくので話したくない」というのです。

何らかの問題が起きたとき、男性は真っ先に問題の解決方法を考えることが多く、女性はその前に溢れる感情があり、その後に解決方法を考えるといった傾向がみられます。男性は客観的な立場から分析しますが、女性からするとその冷静さが寂しい、どちらが正しいかのジャッジだけで自分の辛さをわかってもらえないと感じることが多いようです。

では、妻が望んでいるものはどんなことなのでしょうか。すべての女性に当てはまる訳ではありませんが、女性は話を聞いて感情をしっかり受け止めてほしいと望むことが多いです。すべてがわかる訳ではないことを妻もわかっています。ただ、夫が話を聞こうとする態度、わかろうとする姿勢をもってくれることが大事なのです。

●妻が同じことをいうのは不安のせい?と見方を変える

「同じ話を何度も聞かされることが苦手」という男性は多いですね。しかし、うつ状態になると普段は気にならないような些細なことが心配になってしまいます。不安が強くなると何度も同じことをいうので、家族を疲れさせることもしばしばです。何度も繰り返すのは不安が強いのでは、夫に理解してもらいたいことがあるのではないかと少し見方を変えてみるとよいでしょう。

また、「何度もくどい!」と感じると夫も心が乱されて辛くなります。繰り返すのは不安だから?と捉え方を変えると妻への対応も変化し、夫自身も心が乱されることが少なくなるでしょう。さらに、妻の状態をより理解することにもつながるので、捉え方を変えることは大切です。

<その3>できることからで大丈夫!具体的なサポートを続けていく

男性は、家事や育児をしようと思っても、いざとなるとやり方がわからず戸惑うことが多いものです。手際が悪く、なかなかうまくできないため、結局は妻にやってもらうことになる場合も少なくないでしょう。
自分がやったことで、むしろ妻に負担をかけたと思うと辛いですね。でも、食器の片づけや洗濯などでもよいので続けましょう。多少時間がかかっても、なかなかうまくできなくても、たとえ妻から厳しい意見があっても続けることが大事です。そして、妻への気遣いを忘れないこと、体調を気にかける言葉や日頃からのさりげない声かけ、会話を大切にしましょう。

産後うつのようにうつ状態になると孤独感も生じることがあり、また、自分はいない方が周囲に迷惑をかけないと思うこともあります。飾った言葉でなくてよいのです。多少、ぎこちなくても自分の中にある妻への思いを「具体的に言葉にする」ことを心がけてください。

妻が産後うつになったときには病気を知ることで妻の大変さを理解し、妻の話を聞き、育児や家事の中でできることを一つひとつやっていくことが重要です。また、夫が一人で抱え込まず、他の人への相談や手伝ってもらうことをおすすめします。通院に付き添い医師から病状の説明を受け、かかわり方のアドバイスを得るとよいでしょう。

普段の仕事は心理士として、助産師として女性のこころとからだの健康を支援しています。ライターとしては個人的な経験も含めて、日常生活のちょっとした疑問やふと気になる心配事の解消に役立ちたいと思っています。

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