初節句に欠かせない雛人形と五月人形 地域によって違うの?

初節句に欠かせない雛人形と五月人形 地域によって違うの?

子どもや孫が生まれたら、やはり日本古来のお祝いをしてあげたくなるものです。初節句には、女の子なら雛人形を、男の子なら五月人形(兜など)を贈りますが、地域によってお祝いの仕方が違うことはご存知でしょうか?覚えておきたいしきたりやマナーについてお伝え致します。

節句ってそもそもどんな行事?初節句って?

「節」、季節の変わり目という意味で、無病息災・豊作・子孫繁栄などを願い、お供え物をするなど邪気を払う行事として定着しています。 生まれて初めて迎える節句が初節句で、女の子なら3月3日の上巳(じょうし)の節句(桃の節句)、男の子なら5月5日の端午(たんご)の節句を祝います。生まれてすぐに節句が来る場合は、翌年に祝うことも多いです。
ちなみに他の節句は、1月7日の人日(じんじつ)、7月7日の七夕(たなばた)、9月9日の重陽(ちょうよう)です。※1月だけは1日(元日)は特別な日のため、節句は7日となっています。

雛人形は関東と関西で違うって本当?

デパートなどで販売されている雛人形、お内裏様は左右どちらでしたか?
よく見かけるのは、向かって左にお内裏様、右にお雛様の「関東雛」です。「京雛」はその逆で、向かって右がお内裏様です。古来日本では「左上座」とされていました。ですから京雛の場合お内裏様はお雛様の左側、つまり向かって右側に座っています。
これが明治時代になると、西洋の文化を踏襲し、国際儀礼である「右上位」に変わりました。大正天皇が即位の礼で、皇后陛下の右にお立ちになった事が、この風習が広まるきっかけであったと言われています。関東雛の並びの由縁です。顔立ちも少し違って、関東雛ははっきりとした目鼻立ち、京雛はやや細めの目でおっとりした顔立ちなのです。今度じっくり見てあげてくださいね。

雛人形は買うもの?もらうもの?おさがりはダメ?

雛人形の歴史は古く、平安時代の水辺の行事と人形遊びが元と言われています。3月の最初の巳の日(これを上巳の日といいます)に、人形(ひとがた)を舟に乗せて沖合に流して邪気を祓ったという話が残っています。今でも、「流し雛」を行う地域がありますね。
これと、平安時代の幼女の「ひひな遊び」という人形遊びが相まって、いつしか人形を流すのではなく飾るようになり、現在の雛人形となったそうです。

さて、その雛人形ですが、多くの場合妻側(妻の実家)が用意するようです。しかし現代は一人っ子も多いため、夫側から贈られることもよくあります。もちろん、親が子に買ってあげても良いでしょう。
贈る場合も購入する場合も1月~2月の早い内に選び(季節商品ですので、あまり遅くなると数が少なくなることも)、大安に届くよう手配するのがベストです。

気になるのは、姉妹兼用で良いのかどうかと譲り受けた場合ですね。
雛人形は、上記の通り自分に降りかかる災厄の身代わりをするものという意味がありますので「一人ひと飾り」が原則です。つまり、姉妹でも1セットずつ・・・はいくらなんでも難しいので、下の子には別の人形を買うなどして、一緒に飾ってあげましょう。譲り受けた場合は、両家のご親族の皆様にこれまでどうしてきたか相談してみましょう。代々譲り受けるのが習わしであれば、それに従ってよいと思いますよ。もったいないから・・・という理由であれば、丁重にお断りするのも一つですね。

いつから飾る?いつまで飾る?

せっかくの雛人形ですから、長く飾りたいですよね。
いつから飾るかは、特に決まっていないようですが
 ・立春(2月4日)
 ・雨水(二十四節季の1つ。2月19日あたり)
が良いとされています。遅くとも一週間前には出しておきましょう。
またしまう時期ですが、「早く仕舞わないと行き遅れる」というのは迷信ですので、慌ててしまわなくても大丈夫です。3月中旬頃(地域によっては、旧暦を重視し4月の場合もあります)のお天気の良い日に、しっかり拭いてしまいましょう。湿気に弱いので、必ず晴れた日にしまってくださいね。

端午の節句を祝う ~五月人形とは?

5月5日の「端午の節句」。歴史は古く、奈良時代からあるようですが、五月人形として「兜」や「鎧」を飾るようになったのは、武家社会が中心となった江戸時代からです。
また、兜や鎧は「内飾り」といい、子どもの健やかな成長を願うもので、鯉のぼりは「外飾り」といい、立身出世を願うものです。
このようにそれぞれ異なる意味がありますので、両方飾ることをお勧めしますが、お住まいの地域によっては、鯉のぼりが主役で内飾りは形だけという所もありますし、逆に内飾りである鎧や兜を豪華にして鯉のぼりは小さいものにするという所もあります。
そして、人形は男の子の身代わりとして扱われ、男児に訪れるあらゆる災いを代わりになって背負ってくれると言い伝えられています。

初節句をお祝いしよう!いつ買う?誰が買う?

地域によって風習が異なる場合がありますが、妻の実家で用意する場合が多いようです。最近では、両家で折半することもあると聞きます。せっかくの初節句ですから、皆で楽しく相談して決めることをお勧めします。内飾りを妻の実家で、外飾りを夫の実家でそれぞれ用意するのもいいですね。
また、兄弟が生まれた場合は、本来の意味を考えますとそれぞれに買ってあげるべきところですが、それだと飾る場所も保管場所も難しくなりますよね。それぞれに小さく飾りやすいものを用意する、長男に鎧・次男に兜を贈るなど、工夫してみてはいかがでしょうか。

価格の相場は?地域によって価格が違う?

まず、五月人形には「兜飾り」や「鎧飾り」「武者人形」などの種類があります。さらに飾り方としては「ケース飾り」「収納飾り」「平台飾り」など、飾り方の種類も様々あります。一番手頃な価格のものは、ケース飾りです。大きさによって値段も様々ですが、兜飾りで5~10万円くらいのものが売れ筋のようです。

購入の際は、相場だけでなく「予算」と「設置場所」と「収納場所」をしっかり見極めることが大切です。高いものだと100万円くらいのものもあります。でもいくら上等なものでも、飾れない・しまえないでは困ってしまいますよね。地域によっては、より豪華なものを求める傾向があったりします。販売員の方に、大きさも含めて相談してみることをお勧めします。

日本の文化を大切にしつつ、でも負担に思わなくて済む、家族で楽しめる行事にしていただきたいと心から願っております。どうぞ素敵なお祝いをなさってくださいね。

ファイナンシャルプランナー兼ビジネスマナー講師。セミナーを中心に、資格講座やPCオフィス講座の講師も務める。古いしきたりから最近の話題まで、生活に密着した様々な物事に触れる機会を持ってもらう活動をしている。知ることは楽しい!がモットー

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