花生師 岡本典子さんが紡ぐ「家族のハナシ」?こだわりの家と丁寧な暮らし?

花生師 岡本典子さんが紡ぐ「家族のハナシ」?こだわりの家と丁寧な暮らし?

イギリスに留学したのち日本の花屋さんに務め、現在はTVや雑誌・広告や展示会など、多岐に渡ってご活躍されている、花生師 岡本典子さん。
そんな花生師さんも、家に帰れば二児の母。忙しい日々の中で、どのようにご家族とコミュニケーションを取っているのでしょうか。そこで今回、岡本さんに仕事と家庭の両立についてのお話を伺ってきました。

花とハイセンスなインテリアが融合するこだわりのご自宅

今回は、緑とお花が溢れる岡本さんのご自宅にて取材をさせていただきました。こだわりのアンティーク家具や岡本さんの作品で彩られる「家」という空間そのものが、まるで生き物のようです。
毎日お仕事をされているにも関わらず、忙しさをみじんも感じさせない洗練された生活空間が、そこには広がっていました。そんな素敵なお家で、早速いろいろとお話をお聞きしていきましょう。

家庭にマイナスな気持ちは持ち込まない

――まず、岡本さんがご結婚されたのはいつですか?

今から10年前に結婚しました。結婚した当時もバリバリ働いていましたが、仕事一筋で生きようとは思っていませんでした。でも元々あまり結婚願望もそれほどありませんでしたし、ましてや自分が子どもを生むことも想像が出来なくて......。それでもやっぱり子どもを介して家族になれた気はしますね。とってもかわいいです。主人は現在45歳で、息子は8歳、娘は6歳です。

――お子さんたちも遊びたい盛りのお年頃ですね。普段はどのようにご家族とコミュニケーションを取っていますか?

私は仕事で遅く帰っても絶対に「ごめんね」とは言わないようにしているんです。帰宅したらまずは目を見て子どもたちに「ありがとう!」って元気に言います。玄関で靴を脱ぐ前に「今日はね、こんな仕事をして、こんな楽しいことがあったの。それも君たちのおかげなんだよ。本当にありがとうね!」って伝えるんです。

「家内」と呼ばれる人が家の中にマイナスの気持ちを持ち込んだら、家族全員の気持ちが落ちちゃいますよね。だから仕事で会えなかったお互いの寂しさを「ありがとう」で一気に吹き飛ばしちゃうようにしています。

――確かにお母さんの機嫌が悪かったり元気がなかったりすると、家族みんながどんよりしちゃいますもんね。

そうなんです。あとは子どもたちと一緒にお風呂に入って裸と裸の付き合いをするようにしています。まだ息子もギリギリ一緒にお風呂に入れる年ですしね(笑)。大げさかもしれないけど生きている温もりを感じてもらいたいんです。人の痛みや優しさって言葉でも伝えられるけど、体からも感じられるはずなので。

「朝ご飯に全力を尽くす!」家族のサイクルに合ったカタチとは?

――岡本さんは朝何時に起きることが多いですか?

よくびっくりされるのですが......。仕入れのある月、水、金曜日は目覚ましを2時半にセットします(笑)。

――朝と言うより夜ですね......!

そうですよね(笑)。でも仕入れに行ってから朝ご飯や子どものお弁当の支度をするので、どうしてもこの時間に起きてしまうんです。
それにやっぱり朝が勝負だと思っています。朝陽を浴びたり、鳥のさえずりを聞いたり、植物を感じたり......そういう普通のことを出来るか出来ないかで人間らしさが作られて行く気がするんです。だから早起きして空気を入れ替えたり、帰って来た時の分の食事も作ります。完璧に出来なくてもまずは最低限のことをやるようにしていますね。

あとは主人も帰りが遅いことが多いので、家族が揃いやすい朝ご飯に全力を尽くしています! 食べ物だけではなくて、食器やテーブルに飾る花からも「ご飯は楽しい時間」というのを子どもたちに味わって欲しいです。まずは自分自身と家族のスタイルを知るということが大切だと思います。

家族も仕事に巻き込んじゃう

――仕事のオンとオフはどのように切り替えていらっしゃいますか?

繁忙期は家でも作業することもあるので、仕事のオンとオフを使い分けるのは下手かもしれません。なので仕事に家族を巻き込んじゃいます。
1月と8月は仕事をペースダウンして子どもたちと遊ぶ月間にしているので、子どもたちも「ママは1月と8月にたくさん遊んでくれるために今お仕事を頑張ってくれているんだから、お手伝いするね!」と、普段からたくさん協力してくれるんです。主人も忙しい時は子どもの面倒を見てくれたり......。家族の理解と協力のおかげで、こうしてお仕事が出来ています。

――そんなお母さんの働く姿を見て、お子さんたちはお花に興味を持ったりしますか?

子どもたちはお花に関しては全然前のめりではないですね。でも、それでいいと思っているんです。英才教育をする気もないし、お花の名前を聞かれたら教えるけど、強制的にお花の知識を押し付けるのはおかしいですし......そもそも花ってそういうものじゃないと思うんです。
例えば、いつか彼らが一人暮らしをして「何か物足りないなぁ」と感じたとき「あ、足りなかったのは花だ」と思うようになってくれたらいいなと思っています。

人って、衣食住が絶対ですよね。その中に花は入っていないし贅沢品だと言われることもある......しかし、私は衣食住の全部に花が入っていると思うんです。衣も麻や綿から出来ているし、食にも野菜が含まれるし、家にも木が使われている。全部に植物が入っているんです。そういうことを子どもたちが体感してくれたらいいなと思っています。私が花と楽しく向き合って、家に花があったという幼少時代が子どもたちの役に立ってくれる日が来たら嬉しいですね。

夫婦共通の生き甲斐はDIY

――ご主人はIT関係のお仕事をされているとお聞きしましたが、ご夫婦で共通の趣味はありますか?

お互いDIYが大好きですね。私の展示会に什器が必要になったら主人が作ってくれますし、巻き込んだり巻き込まれたりしています。一緒に晩酌出来る時はDIYの妄想タイムになります。絵を描きながら「こうしたいね、ああしたいね」って話し合うんです。

旦那さまお手製の什器

――ご夫婦共通の話題をつまみに晩酌......夫婦円満の秘訣はここにもありそうですね。

そうかもしれませんね。それにこの家も「たくさんDIYでいじりたい!」と思って買った中古物件なんです。あれやこれやと手を加えて、屋根裏や地下室なんかも一つの楽しめる空間として活用していますね。

――もはや本職の大工さんですね。

家の白壁も主人が塗ってくれたんですが、プロの左官屋さんが驚いていました。もっとこだわりたいことも山ほどありますが、予算もあるので妥協もすごく勉強だと思っています。その妥協を感じさせない方法を夫婦で話し合うんです。まるで仕事ですよね(笑)。

――そんな理想の空間を作るためのコツを教えてください。

家の全部をこだわるのが難しくても、ワンコーナーを決めてこだわりのスペースにするといいと思います。一人暮らしの方でも、お気に入りの瓶を買って花を生けるだけで、そこには届いたチラシの束をワサっと置いたりしないと思うんです。そういう風にして、小さくてもこだわったコーナーを作るのもいいと思います。ワンコーナーが完璧になったら、2つ目を作ったりして広げていくのもいいですよね。いきなり全部というのは無理ですから、まずは出来るところから始めるのが大切です。

こちらの素敵なベランダも旦那さまの手作りなんだとか

花と暮らすための第一歩

――岡本さんのご自宅のように家を花や緑で彩りたい方もたくさんいらっしゃるはずですが、「一体何から始めたらいいのか分からない......」と踏みとどまっている方も多いかと思います。そんな方々に花生師さんからアドバイスをお願いします。

どの時代のどの世界のどの文明にも、誰かが亡くなられたら一本の花を手向けるし、プロポーズやお祝い事にも花を渡すことがあるのだから......人にはやっぱり花が必要なんです。誰かにあげるために5,000円の花を買うことも素敵だけれど、自分のために500円の花を買うって、本当の意味の贅沢だと思うんです。

お花屋さんで自分がピンと来るものに出会えなくても、季節のお花を大事にしてもいいのかなと思います。目の栄養のためにもその季節を大事にすることもリズムを整えることの1つです。
そして家に花瓶がなければコップや空き瓶を利用してもいいですよね。ないものを買うのではなくて、あるものでなんとかしていくのもひとつの勉強だと思っています。

<取材協力>

Tiny N主宰 花生師・岡本典子

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人の話を聞くことと写真を撮ることが大好きなライター。普段は引きこもりがちだが、会いたい人ややりたい仕事があればその地まで引っ越してしまう謎の行動力の持ち主。

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